「市民の力で社会を変える」

2013年6月9日 19時43分 | カテゴリー: 活動報告

 マーシャル・ガンツ氏を知っていますか?オバマ氏を大統領にした男としてアメリカでは、大変有名な人だそうです。オバマ氏の選挙と言えば日本では、ツイッターなどインターネット活用ばかりが取り上げられていましたが、黒人が大統領になることなどあり得ないと言われていたアメリカで不可能を可能にした背景には、地道なあきらめない市民運動がありました。

  6月3日、東京大学本郷キャンパスで行われた一般社団法人JIGH,東京大学GLP主催の公開セミナー「市民の力で社会を変える」には、ハーバー大学ケネディ公共政策大学院の上級講師であるマーシャル・ガンツ氏と社会運動家、自立生活サポートセンター・もやい、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏、社会起業家、NPO法人フローレンス代表理事、財団法人日本病児保育教会理事長、全国小規模保育協議会理事長の駒崎弘樹氏、主催であるJIGH理事、作家の坂之上洋子氏が進行いう形で進められまた。壇上の湯浅、駒崎両氏も会場の300人余りの参加者と同じように、ガンツ氏のあったかい人柄に包み込まれるような時間でした。

  マーシャル・ガンツ氏は、1964年ハーバード大学を中退して、暗殺されたキング牧師の公民権運動の現場に飛び込み、その後、組合、非営利団体のトレーナー、オーガナイザーとして、草の根組織モデルの創始者と提唱者といわれるようになりました。中退から28年後、実践してきたことを理論化するために、ハーバード大学に復学し、博士号をとり、現在は、同大学のケネディ公共政策大学院の講師として、世界31の国の学生たちに教鞭をとっています。

  2008年の大統領選挙で、ガンツ氏はオバマ氏の選挙参謀として何をしたかというと・・。いかに、オバマ氏の古いやり方をやめて、包摂社会を作ろうという価値観を多くの人に伝え、共有できるかということ。ちょうど若い人が政治に関心が高まっていた時であり、地域でオバマ氏のことを語るリーダーを育成するプログラム、キャンプ・オバマ、カリフォルニアで200人の人が集まり、2.5日の合宿をした。オバマ氏がどういう社会を目指しているかの価値観を地域で語り伝え、声なき声を拾い上げていく。最後は、人間と人間の、魂と魂のぶつかり合いだと。インターネットは、情報の増幅効果や動員に効果はあるが、コミュニティへの関わりと責任を持つことを組織化することによって、社会は動いていく。これが、不可能といわれた黒人の大統領につながった。

 その他にセミナーで印象に残った言葉から私なりにまとめてみると・・・

 「市民活動とは何か」

 社会の矛盾を指摘し、緊張を高めることではあるが、緊張の背景には、希望がある。希望を実現するために、活動をしていく。キング牧師が“I have a dream”オバマ大統領が“Yes,we can”と唱えたように。民主主義とは、緊張と不確実性を含んだものである。全体主義であれば、100%の合意であろうが、そんな社会には誰も生きたくない。民主主義とは、つねに、対話を繰り返し、どのようにすれば価値観が共有できるか。20%の共感でも良いから前に進んでいく。

 そして、地味な市民運動はなかなか、すぐに成果は出ない。モチベーションが下がる時もあるし、成功することもあれば、失敗することもある、一人では解決できない。失敗するということはリスクを取ったということでもある。失敗も活動の中に折り込んでおき、失敗はチャンスであり受け入れ、充電し希望に向かって、次につなげる。それは自転車に乗れるようになる事と同じである。自転車に乗りたいと思っていれば、むずかしい本を読むのでなく、何度も失敗し、挑戦し続けてこそ、乗れるようになる。

 「リーダーを育てるとは」

 リーダーがたくさんいないと組織は回らない。一人では無理。リーダーシップとは、手と頭と心を使うスキルであり、学べばできるようになる。自分の話を過去から今、そして未来へとストーリーとして話す訓練。(パブリック・ナラティブ)訓練であり才能ではない。1、自分を知る。2、自分の環境を知ること。3、今じゃなかったらいつだ?と心に訴える訓練。不確実な社会の中で、答えはないから難しく、遠ざけるが、自転車に乗れないからずっと遠ざけるのか?教育でなくコーチングによって組織は動いていく。

 「インターネットについて」

 インターネットは魔法じゃない。ネットから得た情報をどうやって活かすかが重要。お金と同じだ。あっても活かさないと意味がない。ただ、遠い人とつながれるのは利点でもある。「アラブの春」で若い人がインターネットで情報を得て、動員でき古い体制を倒したが、組織がなかったので、選挙には負けてしまった。commitmentとaccountabilityを持つ組織が重要である。

  等々、本当に多岐に渡る内容のシンポジウムで、多くのヒントと勇気をもらいました。

先日、映画「リンカーン」を見ました。全ての人は平等であると奴隷制廃止を訴えたリンカーン大統領から約150年後に黒人の大統領が誕生。キング牧師を始め多くの犠牲と長い運動がありました。

セミナー最後の、マーシャル・ガンツ氏からの言葉。

「希望をつなげよう。世界は、起こらないことも起こる可能性がある。これが希望ということだ。希望を必然に変えることがなくて、生きている意味がない。希望を持とう。」

 生活者ネットワークは、1979年に練馬区で初めての代理人(議員)を出してから34年。その間、活動は前進したり、停滞したりしながらも活動を続けています。現在は東京都内の区市議会、都議会に54人の議員がいます。6月23日は、都議会議員選挙、7月21日には、参議院議員選挙が予定されています。生活者の視点を政治に反映し、誰もが住みやすい社会を実現する希望を持って、活動していきます。「大事な事は市民が決める」